水鑑

人生の機を知るにはどうしたらいいのか。 「木を見て森を見ず」とならないために、ロダンになろう。

しばしお休みします

諸事情によりまして、当面の間、ブログの更新ができません。
申し訳ありませんが、再開までしばしお待ち願います。
お詫び

もう奴には十分時間を与えじゃないか

次の瞬間、ウィルスンが撃った。耳を聾(ろう)するような銃声が響きわたり、雄牛はよろめいた。マカンバーは慎重に狙いを絞って、もう一度撃った。ついに雄牛は腰を落し、どうと跪(ひざまず)いた。
「これでいい」ウィルスンは言った。
「上出来だった。これで三頭倒したからな」
マカンバーは酔ったような心の高揚を覚えた。
「そっちは何発撃った?」
「ただの三発さ」ウィルスンは答えた。
「あんたが最初の雄牛を仕留めたんだ。いちばんでかいやつを。残りの二頭は、わたしが手を貸した。隠れ場に逃げ込むとまずいと思ったんでね。あんたがみんな仕留めたのさ。わたしは最後の仕上げに手を貸しただけだ。素晴らしかったよ、あんたの射撃は」
「車にもどろうや」マカンバーは言った。「一杯やりたくなった」
「その前に、あのバッファローにとどめを刺さないと」ウィルスンは言った。バッファローは跪いていた。二人が近づいていくと、猛然と頭を振りまわしながら、豚のような目に怒りをこめて、荒々しい吠え声をあげた。
「やつが立てないことを確かめて」ウィルスンは言った。それから、「横腹のほうにまわって、首のあたり、耳のすぐ後ろを撃つといい」
 マカンバーは、怒りに震える巨(おお)きな首の真ん中を慎重に狙って、引金を引いた。雄牛の頭はがくっと前に倒れた。
「これでいい」ウィルスンは言った。「脊椎(せきつい)に命中したからな。それにしても、堂々たるもんじゃないか、三頭とも」
「さあ、一杯やろう」マカンバーは言った。そんなにいい気分に浸れるのは生れて初めてだった。
(ヘミングウェイ『フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯』から)
ハンター

おごりは破滅を生む

「ヤーコフ・ペトロービッチ! 僕は思い違いをしていたのです・・・。あの不幸な手紙の中でも思い違いをしていたことが、いまでははっきりとわかりました。ヤーコフ・ペトロービッチ、僕は気がさして君の顔をまともに見れないくらいです。ヤーコフ・ペトロービッチ。君は信じないかもしれないけど・・・。どうかあの手紙を返して下さい、君の目の前で破いてしまいますから、ヤーコフ・ペトロービッチ、それともそれがどうしても不可能ならば、お願いだからあれを逆の意味に取ってください--全然逆の意味に取って、友情的な読み方でわざとそう読んでもらいたいのです。僕は思い違いをしていました。赦してください、ヤーコフ・ペトロービッチ、僕はまったく・・・僕は悲しむべき思い違いをしていたのです、ヤーコフ・ペトロービッチ」
「君は誤解だと言うんですね?」と旧ゴリャートキン氏の背信的な友人はかなり冷淡に、気乗りしないような調子で尋ねた。
「僕はまったく自分の誤解だったと言っているんです、ヤーコフ・ペトロービッチ、僕としては偽りの羞恥心をまったくかなぐり棄てて・・・」
「いや、なあに、結構ですよ! 君が誤解していたというのは非常に結構なことです」と新ゴリャートキン氏は取ってつけたように答えた。
「僕はですね、ヤーコフ・ペトロービッチ、こんなことさえ考えたんです」と開けっぴろげなわれらの主人公は、自分の偽りの友の恐るべき背信には少しも気づかずに、上品な態度で付け加えた。
「僕はこんなことさえ考えたんです、つまり、ここにどこからどこまでそっくりな二人の人間が創り出された・・・」
「へえ! それが君の考えですか!・・・」
そう言ったかと思うとろくでなしで名の通った新ゴリャートキン氏は、さっと立ち上がると帽子に手をのばした。依然として相手の欺瞞に気のつかない旧ゴリャートキン氏も同じく立ち上がり、単純な気持で自分の偽りの友人に上品ににっこりと笑いかけた。無邪気にもこうして相手を慰め、元気づけ、新しい友情を取り結ぼうと努めながら・・・。
「ではこれで失礼させていただきます、閣下」と不意に新ゴリャートキン氏は叫んだ。自分の仇敵の顔になにか酒に酔ったような上機嫌な色さえ浮かんでいるのに気がついて、われらの主人公は思わずぎょっとした。だが、ただ相手と別れたい一心で、この不徳義漢の差しのべた手の中に自分の指を二本そっと差し入れた。しかしここでも・・・ここでも新ゴリャートキン氏の厚顔無恥さ加減はあらゆる限界を超えていた。旧ゴリャートキン氏の二本の指を取って、まずそれを握りしめてからこのやくざ者は、すぐその場で、ゴリャートキン氏の目の前で、図図しくも今朝と同じ厚顔無礼な悪ふざけをやってのけたのである。人間としての忍耐の泉もついにかれ果てた・・・。
(ドフトエフスキー『二重人格』から、写真もドフトエフスキー)
ドフトエフスキー

衰運は性格にあらわれる

「まず最初に、私自身もこの点に関して、とても大変な時期があったのです。ルノー教授に会わなかったら、これがどういう意味か、理解できなかったと思うわ」
「ルノー?」と私は叫んだ。「ぼくも知っていますよ、第4の知恵を学んでいた時、彼に会ったのです」
「私たちは二人とも第8の知恵まで来た時に、出会ったの。彼は私の家に何日か泊まっていました」
私はびっくりしてうなずいた。
「彼は、写本の中毒の考え方は、恋愛関係にいる2人の間に、なぜ権力闘争が起こるのか、説明していると言いました。なぜ、愛の喜びや陶酔感が終わり、急に争いになるのか、ずっと不思議でしたが、今、その謎が解けたのです。それは2人のエネルギーの流れの結果です。
 まず恋が芽生えると、2人は無意識のうちに愛を与え合います。2人の気持ちは高まり、気持良くなります。『恋に落ちた』状態というのは、信じられないほど、気持が高ぶるものです。ところが残念なことに、こうした気持ちが恋の相手から得られるものだと期待すると、宇宙のエネルギーから切り離されてしまいます。そしてますます、エネルギーを相手から得ようとします。ただそうなると、エネルギーが十分にないように感じて、お互いエネルギーを与え合うのを止めてしまい、自分のコントロールドラマに逆戻りしてしまいます。そして、相手をコントロールして自分流のやり方でエネルギーを奪い始めるのです。ここに至ると、2人の関係は普通の権力闘争のレベルに落ちてしまうのです」
(ジェームズ・レッドフィールド『聖なる予言』より)
予言

心には悪事はより深く刻まれる

「人間の犯した悪事は真ちゅうに刻まれて残りますが、
 善行は水で書かれるといいます」
(シェークスピア『ヘンリー8世』より)

人間の記憶とは恐ろしいもので、100の善行も1つの悪行が発覚すれば、後世、汚名のみで記憶される。
イングランド王・ヘンリー8世の王妃キャサリンも離婚後に、それまで離婚が許されなかったイギリスで離婚を認めたウルジー枢機卿の悪行をさんざんあげつらう。
上記はその時善行もあったと擁護する侍従のセリフ。
ヘンリー8世はローマカトリック教会とも対立し、独自にイギリス国教会を立ち上げる。
スペインの地から渡ってきたキャサリンの墓には「イングランド王妃キャサリン」の文字があるが、その後のヘンリー8世の妻・アン王女にはまともな墓すらない。
(写真は、キャサリン王妃)
キャサリン
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